7話サーモン脱皮苦戦......手中の小さな鼓動

そろそろご飯の日だねぇ。
ケースの中に目をやると、ん?サーモンの感じが変だぞ。
なんて言うか白内障みたく目が白い。
調べてみると、ほぉ、脱皮の前兆とな....御飯はあげないほうが良いらしい、でも栄養不足だと脱皮失敗で大変な事になる場合もある...て、御飯をあげろっつてんのか、あげんなっつってんのか、どっちだよ?!
とりあえずあげてみて、食べてくんなきゃ回収でいいか。おお!!ガッツリ食いついた。
なんか大丈夫ぽいな。
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翌日、仕事から帰るとケースの中に....随分デカイうんちが....て、これネズミまんまじゃねぇか!!?まさか吐いた!?
すぐにサーモンを探すとピラピラ腰布みたいの付けてる、おお!脱皮開始だ。
だが、しかし、半日経っても取れる気配なし。
なんかヤバくないか?
調べてみると脱皮不全は最悪死ぬ場合もある...だと....。なんとかしなくちゃ!!!
方法は、ぬるま湯につけてふやかして手で剥いでやる、か。
サーモン捕まえてぬるま湯につけると、おお!暴れる暴れる!
少しふやかして腰布みたいなピラピラを摘まむと手にピリッと何やら引っ掛かる感覚、サーモン、ビクッとしたあと大暴れ!ごめんごめん痛かったか。
さて、どうしたものか?
もがくサーモンを掴もうとして胴廻りを尻尾へ向けて撫でる形になった時、皮が少し捲れた.....これだ!!!
人差し指と親指で輪をつくり胴廻りを尻尾へ向けて緩くしごく...ネギの薄皮をとる感じ...。
おお!いけそう!靴下脱ぐみたいにくるくる皮が巻いてくる。
さっき迄暴れまくっていたサーモンがピタッと動かなくなった、大人しいぞ気持ちいいのかな?
よし、脱げた!良かった良かった。
離してやるとそそくさと木屑の下に潜り込む。
皮は記念に取っときたかったけど、皮だか丸めたハナクソだかわかんない感じになってしまったので処分するか。

.....今回、サーモンの脱皮を手伝った時にショックを受けた事が一つ。
今まで小夜、サーモン共に手にのせたり、触ったりしたことはあったけど、身体をしっかり握ったのは今回初めて。
握った瞬間、指をトクントクンと叩くリズム。
心臓の鼓動だ。この子たちは身体が薄いから鼓動だけでなく心臓の感触そのものが指に伝わってくる。
まるで心臓そのものを指で握ったような感覚。
もともと、生き物を飼うという自覚はあったつもりだった、けど改めて命って何なのか?という疑問に打ちのめされた。
にょろにょろ動く、デカイ口で御飯を食べる、色んな動きを見て生きていると思いがちだけど...これが命の形、小さく弱いけど確かに脈打つ鼓動。
そして、この鼓動が止まる時迄、その鼓動を手中に縛り付けてしまうのが飼うということなんだ。
自分が寂しいという理由だけで、この子たちの人生をうちのなかで完結させる事を決定させてしまった。
せめて、私のようにジンセイナンカクソダと思わせないように、幸せではなくとも不幸にしないように大切に、一緒に生きていこう。

ちなみに、後日小夜も脱皮成功!!
今回はえらくスポーンと一本物で脱ぎ捨てた。
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